インストラクション:牡丹雪の降る日

からだのまんなかを、じめんにおくり、

じめんを足の裏から、体の隅まで送りましょう。

それは、体の中にいたえんじ色の毛糸を絡め取りながら、

膝、鼠蹊部、お尻と背中、鎖骨、腕の柔らかいところと、後頭部をつたって、

指先と頭のてっぺんからゆっくり出ていきます。

出て行った毛糸が、さらさらと飛んでいきます。

掴めそうなら、それを掴もうと、試してみてください。

あなたに戻りたくて、毛糸はするすると触れてきます。

優しく応えてあげてください。

毛糸はあなたの体の先の方に綻びをみつけて、

少しずつ、解いていきます。

綻びが糸になり、あなたの糸は、あなたの中に

あったえんじ色の毛糸と絡み合っていきます。

やがてそれは、おおきなおおきな手袋になり、

溜池の真ん中にある、

白樺の木をやさしく抱きしめます。

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